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「左右盲」のことを改めて思い出すことがありました。
僕は、しばしば左と右を言い間違えるので、いつも「左右盲」のことを考えてしまいます。
しょっちゅうなので、立ち止まって考える暇もなく、結果がよければそれでいいとさほどスルーしてしまいます。
僕の場合はこうです。車に乗っていて「次の信号は右折?左折?」と他人にナビをしてもらうとき、左右逆に行ってしまうことがよくあります。
また、逆もあります。
他人の運転で「次の信号右?左?」と聞かれて指示を間違えて、道を知っているにも関わらず「あ、ごめん右だ!」と言ってしまうことがよくあります。
街を歩いていて「そこ右だよ」と言われて左に曲がろうとすることもあります。歩いている場合は余裕があるので「ちがうちがう逆!」と言われれば、他の歩行者に注意しながら逆に行けば良い話ですが、車の場合は間違えたら途中で急に逆に行くわけにはいきません。
走行車線区分違反や車線変更禁止の場合もありますし、それよりも急に方向を変えるというのは車の場合、事故につながります。
なので、僕の場合は知らないところに車で行く場合は、ナビを使い、且つ地図で道を覚えて行くようにして、他人のナビを聞かないようにしています。
出かける前に、地図を覚える癖はナビなんか無い頃からついていて、会社員で若手の頃、社用車で上席の部長や担当役員を乗せて全く行ったことないところにドライブする時にも威力を発揮しました。
「◯◯くん、よく道知ってるねー、良く眠れたよー、ありがとう。」と言われたものです。
帰ってから、その日通った道を思い出して地図をもう一度見返すと、もうその道は覚えてしまいます。
なので、都内であれば「あそこ車で行ける?」と聞かれたら、余程新しいところでなければ大体行けるし、その地域の雰囲気とかを説明できちゃったりします。
左右を瞬時に識別できないという意識は、若いときから持っていたので、自分なりの処世術として「地図を覚える」ことをしています。
地図上や道路上の方向指示の間違いはしません。
それに、方向感覚で混乱することは全くなく、むしろどこに連れて行かれても方位磁石のように北南を間違えることはありません。
ですので、ある特定の「右」「左」という言葉自体の認知機能に不具合が生じるのだと考えています。
若い頃から持続的なものと意識していますので、もう僕の特性として仕方ないものとあきらめています。
日常生活に支障をきたすことがないように、「左右」を他人に指示する時は緊張して注意しています。
「左右盲」があると洒落にならない業界もあります。
例えば、飛行機業界。
パイロットの友達に「左右盲」について軽く聞いたことがあります。
すると、かなり真剣な顔でトレーニング、教育、作業手順、それにコクピットのデザイン、クロスチェック、コミュニケーションの取り方などについて熱く語ってくれました。
そんなに熱くならなくても……ってこともあるんだな、と色々と考えさせられました。
すごく良く出来てるとも思いました。でも、所詮人の作ったものです。
人間の認知を超えるものは作れるはずはありません。
そして最後に「今、自動化されているものが多くて楽になったよー」と言っていました。
「楽になったよ」じゃなくて「安全になったよ」と言ってほしいですね。
そうだね、楽になってよかったね。「キャプテン!(いちお、B787と777等の機長です)」
ちなみに英語で「左右盲」は「left-right confusion」というそうです。
そういえば、ちょっと前に読んだ「黄色い家」(川上未映子著)にはっきりと記されていませんが、発達障害(多分ASD系)かグレーゾーンと思われる黄美子さんという登場人物が出てきます。
黄美子さんの右手に左右がわかるように、子供の頃にでかめのほくろ状の入れ墨を入れられていると記されていたことを思い出しました(ひどい親です)。以下引用です。
「黄美子の右手に、なんか、でかめのほくろみたいなの、あるだろ」
黄色い家(川上未映子著) 第六章 試金石 より引用
「えっ、知らない」わたしは顔をあげた。
「あるんだよ。親指のしたんとこに。何回おしえても黄美子は右と左を覚えねえから、子どもんときに墨でしるし入れられたんだよ。適当な針で。こっちが右だってぱっと見でわかるように」
少し前の時代の設定の本でしたが、当時の発達障害の人がおとなになって社会に溶け込むにはどのような処世術があったのか?いかに日本の社会福祉が脆弱なものか思い知らされる本だと思いました。
黄美子さんの場合は、興味の狭さや偏りからそのような症状が出るのかと想像しますが、どんな人でも、興味関心が狭くなったり、先入観が入った瞬間に左右を間違えることはあると思います。
「右も左もわからない」(何もわからない)のではなく、(わかっていても)「右と左すら混乱する状態」が左右盲の状態なのかと思います。
先入観は怖いと僕は思っています。
推測や感覚だけで判断してはいけない。
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