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最近、国会で十分な議論が行われないまま成立した、子を持つ親として違和感を感じた共同親権を認める民法改正について、少し考えてみたいと思います。親権というのは、子供を育てる義務を負う権利のことです。この改正がどのような影響を及ぼすのか、そして本当に少子化対策や子育て支援になるのかについて、私の考えを共有してみます。
まず、現在の離婚後の親権の状況についてお話しします。日本では、離婚した際に親権が経済力のない妻側に渡るケースが多いです。一方、経済力のある夫側が養育費を支払うことで離婚が成立することが一般的です。しかし、現実には養育費がしばしば支払われない問題が発生しています。夫が親権を持っていない場合でも、父親としての面会権は法的に認められていますが、その面会権がうまく行使されないケースも多いのが現状です。
さらに、今回の改正では既に離婚したカップルにも共同親権が遡及適用されることになっています。しかし、法の非遡及原則に反するという指摘もあります。つまり、過去の事柄に対して新しい法律を適用することは基本的には認められないという原則があるのです。
DV夫の問題もこの改正において考慮されるべき重要なポイントです。共同親権が導入されることで、子供のパスポートの取得や受験、手術などの手続きに共同親権者の同意が必要となり、手続きが煩雑化する恐れがあります。さらに、悪用されれば養育費の不払いの口実に使われる可能性もあります。また、児童手当の折半や、最悪の場合は性行為などの不適切な要求が出てくることも懸念されます。
また、子連れ再婚も難しくなる可能性があります。既に子連れ再婚している場合でも、生みの親が共同親権者として割り込んでくることがあります。これにより、子育てのコストが増大し、子供の生活に悪影響を及ぼすことが懸念されます。
では、この改正が本当に子育て支援や少子化対策になるのでしょうか?私には疑問が残ります。むしろ、婚外子を含むひとり親世帯の子育てを直接支援する方が少子化対策には効果的ではないでしょうか。
例えば、ひとり親世帯に対する経済的支援や、子育て支援の充実を図ることで、ひとり親家庭が安心して子育てできる環境を整えることが重要です。また、子供の教育や医療に対する支援を強化することで、子育ての負担を軽減し、少子化対策に繋げることができるでしょう。
さらに、親権のあり方についても再考する必要があると思います。親権は単なる権利ではなく、子供を育てる責任を伴うものであるべきです。したがって、親権の分担についても、子供の最善の利益を第一に考えるべきです。
結局のところ、共同親権を認めることで親権に関する問題が解決するわけではありません。むしろ、新たな問題を生む可能性が高いと感じます。親権に関する議論は、子供の利益を最優先に考えた上で、慎重に進めるべきです。
以上が、共同親権に関する民法改正についての私の考えです。私も仕事柄色んな家族のご事情をお聞きすることがあります。現場からとしては「個別案件」と考えざるを得ないことがほとんどです。これからどんな事例・判例が積み上がっていくのか?決してこの改正法を杓子定規に取り入れない法運用を求めてもらって、この改正が本当に子育て支援や少子化対策になるのか、今後の動向を注視していきたいと思います。皆さんも、ぜひこの問題について考えてみてください。子供たちの未来のために、より良い法制度が整備されることを願っています。
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